Grim Saga Project

純血と混血
 ~ the Blood of destiny

 
 
 
 
 
人間は神々にとって脅威だった。
 
黒陽系に元々存在していたどの生態系とも違う。
 
上級神に似た容姿を持つ。
 
他のどの生命種も持たない可能性を秘めている。
 
科学技術を発展させ、魔法文化を進化させる。
 
 
 
黒陽系で生き延びてきた多くの生命種とは違い、脆い。
 
その弱さを自らの肉体の進化で補わない。
 
文明を形成する。
 
 
 
脅威を排除する。
 
そう考えた神もいる。
 
しかし、それは出来ない理由があった。
 
人間は生きなければならなかったのだ。
 
少なくとも神が存在し、グランドクロスが起きる限りは。
 
 
 
 
 
黒陽系の人間は太陽系とは異なる成長を遂げ始める。
 
他星への居住。
 
異種との交配。
 
 
 
エルハイムの人間はエルハイミアンと呼ばれるようになる。
 
ルディの人間はルディアリエと呼ばれるようになる。
 
更にその絶対数を増加させながら、人間は他種族とも交配を行うケースまで出てきた。
 
亜人の誕生。
 
そして禁忌。
 
 
 
神と人の混血。
 
神は神以外の種と交わることを認めていなかった。
 
 
 
人間を基とした稀有で新たな二つの人種が生まれた。
 
一つはグリム。
 
一つはメサ。
 
 
 
 
 
グリムの血族は記憶を与える力を宿す。
 
メサの血族は運命を変える力を宿す。
 
 
 
 
 
グリムの始祖をレト・グリムといった。
 
メサの始祖をクラン・メサと言った。
 
グリムとメサは次なる聖戦の結末を変える力を持っていた。
 
否、持たされていたのかもしれない。
 
 
 
 
 
グリムは“グリムの器”を生み出す。
 
メサは“ルインディスタ”を持つ。
 
 
 
 
 
時は流れ。
 
 
 
グリムとメサ、双方の血を継ぐ人間が誕生した。
 
レヴィン・シア・オルティエ。
 
白暦7754年のことである。
 
 
 
 
 
神は彼を恐れた。