緊急と時間と憂鬱と 47話
あなたは本当は気付いている。
そう。
エンデル・フロシェールの言う通り。
ここまでくれば否が応でも向き合わなければいけない可能性。
光平が連続殺人事件の犯人である。
その可能性について。
光平に起きた異常が、殺人をトリガーにしているという想像。
きっかけ、動機、理由については今どれだけ考えても想像の域を出ないし、確証も持てないので検討から除外。
問題は、その可能性が現実かどうか。
エンデル・フロシェールに頼るまでもなく、私も未知も大気も気付いている。
それはやはり。
光平が殺人を行うことで、自らを高めていた。
そういうことではないだろうか。
第三の事件の後、光平には会っていないが、二度の事件直後から異変が起きている。
これは明らかに、その可能性にみんなが思い至る最大の理由だろう。
ほかに。
何かわかることはないか。
情報を集約することで何か見えないだろうか。
まだたくさんわかることがあるでしょう?
エンデル・フロシェールの声が耳ではなく、脳に響いた。