緊急と時間と憂鬱と 42話
4人目の遺体。
3つ目の事件発生から、それはたった3日後に発見された。
段々と早まる殺人の周期。
そして少しずつ高まる被害者の年齢。
今回殺されたのは19歳の男子学生だ。
年齢が幾分大人に近づき、幼児とか子どもという感覚が薄れた。
その分、気持ちは楽か。
まったくそんなことはない。
むしろ4人もの犠牲者を出して、まだ犯人を捕まえられずにいることを始め、疲労とストレスがリミットを超えたのかもしれない。
姫森神菜は現場を少し離れ、ひとしきり嘔吐した。
涙も鼻水も止めることができず、今まで溜め込んできた様々な感情が一気に体内から飛び出した。
しばらくして胃も空っぽになり、どうにか落ち着きを取り戻す。
それでもはあはあと息遣いか荒く収まりきらない。
脇田も表面に出てしまうところまでは行かずに留めることはかろうじてできたが、姫森神菜と同じような状態だった。
被害者の名前は身元を調べるまでもなくわかった。
なぜなら彼は最有力の容疑者としてマークされていたからだ。
被害者は空山光平だった。