緊急と時間と憂鬱と 39話
エンデル・フロシェール。
それが彼女の名だという。
名を名乗る万年筆。
冷静に常識で考えれば有り得ない。
だが、冷静も常識も関係なく、実際にエンデル・フロシェールは私に話し掛けてきている。
その事実は疑いようがなかった。
その日、私は彼女との対話に夢中になった。
そして彼女の力を借りて当時光平が生み出したトラブルを解決した。
私は朦朧としていた。
たまたまその日は先生や警備員が見回りに来なかったのだろうか。
気付いたのは次の日の朝だった。