緊急と時間と憂鬱と 34話
いつものアレ。
うーん…。
「気が進まない」
「え」
気が進まない。
そう言おうとしたが、未知がそれを先に口にした。
「だってフーいっつもそうなんだもーん」
苦笑するしかなかった。
あれやこれやと理由はあったが、確かに私は気が進まない。
おどけた未知の言うとおりだ。
「大体こんな時にどうやってどの問題に取り組んだらいいのかすらわかんないよ…」
「それはそうだなぁ。
いつもみたいにアホの光平がちょっとトラブってます、でこうこうこういう問題があって、こうなれば解決です、って状況じゃないもんね」
「うん…」
でも。
だからといって、何もできないからしない、でいいのだろうか。
少なくとも大気は光平の問題に何かしら対処しようとしている。
「何か…」
「ん?」
「何か、私たちに出来ること、ないかな」
振り絞って出たのは、そんな情けないセリフだった。
「おお!
フーらしからぬお言葉。
…。
でも…。
茶化してる場合じゃない。
今回は本気で考えないと、大変なことになるかも」
未知も未知なりに考えているのだ。
よーし、と未知が息巻いたのを合図に私達は、私達が出来ることについて考え始めた。
その時、店に客が入った。