緊急と時間と憂鬱と 33話
「尾けられてる!?」
思わず未知は声を上げた。
私は人差し指を立てて、口元に当てる。
いつものたまり場。
一週間近く、大気と光平の音沙汰がない。
不安で仕方なかったが、未知に今告げたことも事実だった。
実は今に始まったことではなく、以前から誰かが自分の後ろからついてきているように感じることはたびたびあった。
どれぐらい前からだろう。
おそらく1年ぐらい。
ただ、その頻度が最近上がっている。
振り向いてもそういう誰かが居たことはないのだけれど。
なんで今。
尾けられてるかも、と感じるたびにそう思う。
殺人とか光平の異変とか大気のこととか、色々悩ましい時なのに。
そうは言っても気持ちが悪い。
最近ひどい日は一日置きぐらいで違和感を覚える。
その相談を未知にしたところだった。
一瞬シュアンがこちらをちらっと見た。
色々な不安が募るばかりだ。
まずは光平が最悪の結果ではないこと。
それが一番。
大気は光平を探している。
おそらく。
見つけたらどうするつもりなのだろう。
そしてストーカー。
…かもしれない。
「ねえ、フー」
「ん?」
「そろそろいつものアレ、やり時なんじゃないの?」