緊急と時間と憂鬱と 30話
中学校一年生の女児。
その絞殺死体が見つかった。
3件目。
1件目から12日後。
2件目から5日後。
3件共、午後8時から午後9時半頃までの間に起きている。
1件目は5歳。
2件目は9歳。
3件目は13歳。
事件ごとの年齢差が4歳ずつなのは偶然かもしれないが、徐々に被害者の年齢が上がっていることには意味がありそうな気がする。
1件目、2件目でだいぶ容疑者が浮上してきて、常時マークする対象を絞り込んでいた。
その一人、三宮晋太郎の職場を訪れた直後のことだった。
これまでの2件の犯行時刻を考えれば当然、次も似たような時間である予想はしていた。
だからこの時間は警戒を強めていたし、脇田達もそれを踏まえて三宮晋太郎の職場を訪問していた。
三宮晋太郎は職場から出なかった。
警察、脇田達は少なくともそう思っていたが、その張り込みは失敗していた。
事件三度発生の一報を受けた脇田と姫森は、三宮晋太郎の所在を確認するために再度職場を訪問したが、既に帰宅していた。
脇田達と話をした後、すぐに帰宅したらしく、ついでに牧村も居なかった。
三宮晋太郎の職場は社員20名程度の小企業で、中規模なオフィスビルのワンフロア、5階に部屋を借りて事業所としていた。
脇田が正門、ヒメが裏口を張っていたが、牧村も三宮晋太郎も出ては来なかった。