緊急と時間と憂鬱と 24話
レイは職場に復帰した。
夫を失ってから2ヶ月と2週間が経過していた。
立ち直ったとはとても言えない。
ダメージは癒えるどころか、日を重ねるごとに増していくようであった。
とはいえ、レイは独立して一人暮し。
何も出来ずにいつまでもいるわけにもいかない。
生きてなくてもいっか。
そんなことまで考えたが、それではいけないのだと気付かせてくれた。
彼の、未来の形見が。
そして職場復帰して三日目。
後輩の三宮晋太郎が、殺人事件の犯人である可能性があるという理由で警察がやってきた。
レイは話を聞けば聞くほど腹が立ってきた。
晋太郎が犯人である可能性、と言ってもどれもとても曖昧な理由だったからだ。
そんなことで犯人扱いされたらたまったもんじゃない。
彼は事件が解決するまで、同僚にすら疑われなければいけない。
犯人でなかったとしたら、事件解決までの間もその後も彼にとってプラスに働く要素は何一つない。
日本国民なのだから、捜査に協力しろ、と言われれば協力すれば良いと思うが、そこに何かの代償を伴って、警察がそれをフォローしてくれるだろうか。
いや、そんなことはない。
少なくとも自分が会った警察官たちにそこまでの器量があるとは思えなかった。