緊急と時間と憂鬱と 20話
とにかく脇田も姫森も、昨日の訪問時とは違い、やるべきことをやった顔だった。
もちろんまだまだ捜査はこれからなのだが、滑り出しは悪くない。
風雨は少し冷静さを取り戻した。
不思議な二人の表情が昨夜と明らかに違う。
光平の異変の原因についてのある可能性。
自分に出来ること。
大気の険しさ。
…何かが繋がりそうだ。
未知は風雨が混乱・葛藤しながら戦っているのを感じた。
普段光平が巻き起こすトラブルはここまで重大な問題には発展しないとはいえ、自分達が尻拭いをする羽目になる。
その時、最後のピースを見つけるのはいつも風雨だ。
優しくて、怖がりで、面倒事に首を突っ込みたがらない。
そんな風雨は追い詰められた時に、…というより覚悟を決めるとモードチェンジする。
自分も頭は回る方だと思っているし、大気に至ってはあれこそ天才だと思う。
だけど、風雨のスイッチが入るとその大気すら遥かに凌駕する何かが目覚める。
未知はそんな風に考えていた。
大気は光平を探していた。
可能性としてはまだ100%ではない。
未知も風雨もその可能性に気付いている。
そして恐れている。
光平に会ってやるべきことは二つ。
まず不幸な可能性の真偽を確かめること。
二つ目はシロかクロかで変わる。
シロであれば真犯人を突き止めて、光平の潔白を証明しなければならない。
他にも色々あるが、その後どうにでもなる。
こちらはハッピーエンド。
クロの場合はバッドエンド。
…気が重い。