緊急と時間と憂鬱と 18話
「フー、今朝のニュース見た?」
しばらくして未知が口を開いた。
私は、うん、と答えた。
…と、思う。
正直なところ、よく覚えていない。
未知も気付いていた。
昨夜、二件目の事件が起きた。
9歳の女の子が被害者。
一晩の捜査で同一犯だということは確定しているとのこと。
「まだ決まったわけじゃない」
未知が言った。
わかってる。
わかってるよ、未知。
でもダメ。
あまりにも繋がり過ぎている。
偶然じゃ済まされない。
大気も未知もわかってる。
私もわかってる。
私達の想像が憶測で終わってくれたらどんなにいいか。
自分の予感を恨めしく感じる。
私は一番始めに何かに気がついていたはず。
予感が当たるんじゃない。
そう感じる根拠となる情報をインプットしているのに、無意識はそれに気付いているのに、表層意識は気付かない。
気付きたくないから、気付かない振りをしているだけかもしれない。
今までは取り返しがつかなくなる前に大気と未知とトラブルを解決してきた。
でも今回はダメなの。
もう手遅れなんだもの。
…何が出来る?
それじゃ今から私に出来ることは何?
と、その時、開店前のたまり場に客が入ってきた。