緊急と時間と憂鬱と 08話
言われてみると、確かに大した話はしてないとはいえ、昨日・今日は光平と言葉を交わしている。
いつもの光平と変わりなかった。
いや、多少元気がなかった…?
「未知はどうして光平がおかしいと思った?」
大気が尋ねる。
光平が私に話しかける頻度以外にも何か異変を感じる理由が、未知にはあったはず。
そう言いたげだった。
「うん。
私も割とそういうの鈍いから、始めはあまり気にしてなかったんだけどね。
ほら、この前光平がここに来た日、あの日やたら光平元気で、なんていうか、いつものトラブルメーカーでお調子者で頼りない光平っぽくなくて。
その時はよかったんだけど、次の日学校で、私ちょっと荷物運んでて落としちゃったの。
そしたらね、光平が来て助けてくれたんだけど…。
”オレやっとくから任せとけよ。未知は戻ってな!”
って」
それはおかしい。
声に出さずとも大気も同感だとわかる。
大気は難しい顔をして聞いていた。
普段の光平ではありえない。
自信に満ちてい過ぎる。
手伝ってくれるのは光平なら当然なのだが、セリフは絶対におかしい。
それではまるで…。
…。
大気のようだ。