Grim Saga Project

時空と人と不穏と 22話

 
 
 
森村裕美は、私たちのC組でキョーコの財布が盗まれた時に証言をしてくれたクラスメイト、ユミである。
光平の後ろから出て来たユミに続いて、ぞろぞろと女子生徒が現れる。
ユミも含めて5人。
 
「ねぇ、真崎センセー。この子たちがなんだかわかるよね?」
 
光平が真崎に投げ掛ける。
真崎は答えない。
 
「代わりに答えてあげよーか?」
 
光平が更に押す。
 
向かい合って立つ桐島と真崎、その桐島の右手側に位置する電波塔の影に私はいた。
光平がここであまりに真崎を刺激するのは好ましくない。
桐島の身に危険が及ぶ可能性がある。
真崎は今は桐島に身体の右側を見せる形で横を向いていた。
更に顔が左を向き、桐島と反対側の光平の方角を向いている。
 
「おいおい。何を言ってる、空山」
 
真崎のごまかしがあまりにも空虚に響く。
私にはその声は震えているように聞こえた。
光平、これ以上追い詰めちゃダメ…。
 
 
 
真崎がふらっとよろけたように見えた瞬間、桐島に飛び付いた。