Grim Saga Project

時空と人と不穏と 19話

 
 
 
もう一度だけ犯行が行われる。
私はそう予想した。
 
可能性は五分。
几帳面な真崎は順に犯行に及んでいる。
A組、B組、C組。
しかし、D組とE組では犯行を行わなかった。
次に現状で最後のF組。
D組とE組は犯行を行わなかったのではない。
撹乱目的でもない。
犯行の条件が整わなかったのだ。
 
だから、最後に可能性があるのがG組。
座席などの条件も当たる。
条件が整う。
おそらく整う。
確証を得るための最後の条件については人間関係の深い部分にあるため、そこは押し切りである。
私は何人かに協力を得て、すべての条件が整う今日を迎えた。
この後の放課後、すべては明らかになるはずだ。
 
桐島翔子は放課後の屋上にいた。
久しぶりに来た屋上は思いのほか良いもので、なんとなく手すりにもたれて遠くを眺めてみると、予想外に充実した時間が過ごせる気がした。
しかし、憂鬱な気分だ。
誰も来なければ良いのに。
その願いは叶わなかった。
 
コツコツと足音が聞こえてくる。
否が応でも自分の心音が強くなるのを感じた。
自分よりもだいぶ手前で足音が止まったので、桐島は意を決して振り向いた。