時空と人と不穏と 17話
「あなたはあの教師が犯人である可能性に捉われ過ぎています」
そうかもしれない。
じゃあそうじゃないということ?
「いいえ。そうは言っていません」
どういうこと?
真崎が犯人である可能性に捉われ過ぎているから、彼が犯人であることで見えないことがある…?
「そう」
んん?
どういう意味だろう。
この意思は、私と対話する際、私の声を聞くのではなく心の中で対話する。
つまり、私が考えていることがそのまま伝わってしまう。
このままだと、この意思はもう何も教えてくれない。
何かに私が気付かなければいけない。
これまでの経験上、それは明白だ。
真崎が犯人だとする。
だけどそうでない可能性についてももっと検討しなければいけないのだろうか。
これまでに得た情報の多くは真崎の授業中に盗難が行われた可能性を示唆しているのは確かだ。
四つのクラスで事件が起きて、そのどれもが真崎の授業中に盗難が発生した可能性を示しているけど、真崎が盗んだわけでないとしたら?
真崎の授業中に、真崎以外に必ずそこにいた人間は一人もいない。
授業中には真崎とそれぞれのクラスの生徒しかいないからだ。
真崎ではない誰かが犯人だとすると、それぞれのクラスの生徒が犯人ということになってしまう。
あり得ない気がする。
…本当にそうだろうか。
そうか。