時空と人と不穏と　15話

　
　
　
宮沢琴子は事情を知らなかった。
わずかとはいえ、彼女が犯人である可能性もある。
が、しかし違う。
琴子は犯人ではない。
私も光平もそう感じた。
　
だから事情を説明して、協力してもらうことにした。
ほんわかとしていながら頭脳明晰な琴子だが、巻き込み過ぎるのは本意ではない。
ちょっと詳しく話を聞いてみた。
　
「今日の学校での最後の授業って、やっぱり英語だった？」
　
「そうだよー。真崎先生がねぇ。うーん、確かに怪しくないこともないけど、少なくとも先生は今日の授業で私のカバンに手が届く距離まで近寄ってきてないよ」
　
そうか、確かに。
盗む手法に直結する話ではないか。
糸口すら掴めていない謎の一つ。
　
「でも、私もぼーっとはしてるけどお昼にはお財布使ったし、学校出てから今までのどこかではお財布出そうともしてないから、帰り道で落としたってのも違う気がするなあ」
　
という話も聞けた。
英語の授業中に盗まれた可能性について、やはり後押ししてくれる気はするが決定打はない。