Grim Saga Project

時空と人と不穏と 12話

 
 
 
次なるアプローチ。
 
「んー、少しわかってきたよ」
 
光平の報告は翌日の放課後だった。
前の2件の盗難事件を探る。
一つ目は3年A組で9日前に起きていた。
二つ目は3年B組、3日前。
どちらもその日のその組の最後の授業はやはり英語だった。
 
光平が続ける。
 
「フーが聞いてこい、って言ってた内容を順番に報告すると、だ。」
 
という前置きに続いて話された内容はこうだった。
 
A組の被害者は佐藤久美子。
やはり女子。
おとなしめの性格で、交友関係は広めの光平も初めて話した。
この件を相談できる友達はおらず、直接担任に報告していた。
盗まれた額は1万円弱程度で、未だにサイフはでてこない。
今回同様、昼休みまではサイフがあり、放課後に気付いた。
担任曰く、警察に届け出はしていない。
 
B組の被害者も女子。
竹下真知流。
性格は活発で友達も多い。
この話を知っている友人は男女共にたくさん。
しかし有力な証言はナシ。
被害額、約2千円。
こちらもサイフは未だ見つからず。
タイミングは少し違って、真知流は弁当のため朝からサイフには手をつけず、放課後気付き、始めはサイフを忘れたと思っていた。
帰宅後も見つからないため、学校内で無くしたとは思っていない。
担任にも相談はしたが、警察には自分で届け出ている。