Grim Saga Project

時空と人と不穏と 10話

 
 
 
「つまり、…どゆこと?」
 
廊下を歩きながら光平が尋ねる。
やはりあまり意味はわかっていなかったようだ。
 
私は面倒に感じながらも丁寧に説明してみた。
 
「相変わらずすげーな、フー。それ、真崎が犯人で決まりじゃん!」
 
私たちは教室で自分たちの荷物を手にして、帰宅の途についていた。
キョーコもユミも教室にはいなかった。
 
「そうかなぁ。何か見落としがある気がする。真崎が犯人の可能性に気がついて、それ以外のことが見えなくなってるかもしれない」
 
そう。
だから桐島も慎重なのだ。
 
「見落としか…なんだろ。もう今の話聞いちゃうと真崎が犯人としか思えないなあ…」
 
「じゃあさ、例えば、真崎は授業中にどうやってサイフをスってるの?」
 
「そりゃあ、ほら、あれだ。最初に言っただろ?」
 
「え?」