Grim Saga Project

時空と人と不穏と 09話

 
 
 
桐島の返事は煮え切らない。
イエスともノーとも答えなかった。
桐島はしばらく考えて
 
「うーん…、とりあえずやってみる?」
 
しかし、確かに当たって砕ける可能性がある。
桐島が返事を渋ったのもわからないではない。
仮に桐島がうまく引き留めたとして、真崎の荷物を漁って証拠を見つけられなかった場合どうなる?
そして、職員室の他の教師に怪しまれずに真崎の荷物を調べるにはどうしたらいい?
詰めがイマイチなのは確かだ。
 
「先生、詰めがイマイチなのは自覚してるんですがどうしたらいいでしょう」
 
思い切って相談してみる。
 
「うん。私ももう一段安全な方法がないか考えているんだけどね。ちょっとお前たちにリスクが大きい。もう一練りしようか」
 
わかりました、と返事をして私たちは職員室を後にした。
もう一歩先に進むまで引き留めもしない、と桐島は言った。