時空と人と不穏と 04話
「で、どう思う?フー」
光平が屈託無く尋ねる。
フーというのは私の名前。
渾名ではなく、そういう名前なのだ。
風と雨で「フー」、時宗風雨というのが私の名前。
「なくしたんじゃない?」
「だーってさ、おかしいじゃん!昼に使ってさ、5時間目の授業終わって帰ろうとしたらないんだぜー!?」
「誰かが盗んだとか、財布が一人で歩いて逃げた、…ってよりは現実的だと思うけど」
「超能力で消した!とかは?」
「あのねぇ…」
「あ、やっぱダメ?へへ…」
「ふざけてんならもうおしまい。私帰るわ」
「うわわわ、冗談!冗談だってば!」
「当たり前でしょ。人を助けるのにいい加減だったら初めからやるな!」
「はい。すみません…」
これはお決まりのやり取りだった。