Grim Saga Project

心想夕戯 ~the fob watch ferrying memories
 夕闇に友想ふ ~friends

 1-17. 画竜点睛、欠如 ~Malignant monologue

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 なんで!?
 
 うふふ。
 知りたい?
 
 そうだな。
 どうせアナタ死ぬんだし。
 私の思いの丈を第三者に話すことは今後ないし。
 アナタも運が悪いわね、結城さん。
 私の計画の中にアナタは入っていなかったのよ。
 
 ふぅ。
 初めから話そうか。
 
 私はこの一年、田嶋に愛情を注ぎ続けてきたの。
 他の男には目も暮れずにね。
 でも多少の浮気ぐらいは許したわ。
 私も大人だしね。
 
 そしたらある日
 “麻実、本気で好きな女がいるから別れてくれ”
 ですって。
 
 ふざけないでよ!
 私がどれだけアイツにすべて捧げてきたと思ってるの!!
 
 私はアイツと結婚するの。
 
 
 
 お互いに最高のパートナーだってことをアイツはわかっていなさすぎる。
 さすがの私も腹が立ったわ。
 わからせてやるしかない。
 そう思った。
 
 まずはアイツが本気で好きだと勘違いしている相手を探した。
 アイツは言わなかったからね。
 そしてそれが日比野夕華であることを突き止めた。
 
 一思いに終わらせてやりたい気持ちを何度抑えたことか。
 でも、私はアイツと幸せになるから。
 捕まるようなことがあっちゃいけない。
 どういう方法が最善か。
 日比野夕華の行動パターンから考えていた時に、香田さんを見つけた。
 香田さんは長いことストーキングしてたみたい。
 
 この子、もう少し頭がキレるといいのにね。
 手を貸すフリして利用するつもりだったんだけど。
 勝手に階段から日比野夕華を突き落としたり、アナタを巻き込んだり。
 もう最悪。
 
 どちらにせよ、香田さんにも自殺してもらうつもりだったんだけどね。
 アナタと争ったことにするわ。
 
 あー、私のクラスから自殺者一名、他殺者二名よ。
 印象悪いわ。
 私たちの幸せの障害ね。
 だけど仕方ないの。
 アイツは今こそ思い知るべきなのよ!
 
 香田さんはどうも日比野夕華とアナタに独特の魅力があるのを羨んでいた。
 
 大体こんなところだな。
 …あぁ、すっきりした。
 
 わかってもらえた?
 相槌も打てないほど弱ってるのね。
 
 いいわ。
 終わりにしましょう。
 
 
 
 
 
 さよなら、結城さん。