遥一閃 06 集
とにかくロミは走っていた。
できたのだ。
彼の、レヴィンのための槍が。
村がオーガの群れに襲われたのは知っていた。
工房に閉じ籠っていたから、ユーリとウェインが連れ去られたことも、レヴィンとミアが後を追ったことも、しかし後から知った。
しならない長槍はそこそこ重量もあり、これを携えて走るのは大変だったが、直感が言っている。
今すぐにこの槍を届けよと。
どのぐらい走っただろう。
オーガの巣と呼ばれる洞穴に辿り着いたのと、その入口からミアが飛び出てきたのがほぼ同時だった。
「ロミ!レヴィンが死んじゃう!助けて!!!」
悲痛。
まさに悲痛という言葉がぴったりと当てはまるほど、ミアの必死さが伝わってきた。
走り寄りながら目を凝らすと、後方から追いかけてくるオーガの群れが目に入る。
しかし、ロミにはその奥に倒れているレヴィンが見えた気がしたのだ。
迷わず長槍を思いっきり投げ入れた。