遥一閃 05 打
人の背丈の倍はあろうかという細身の長槍。
ブルーアイと呼ばれた宝石に導かれるように打った。
槍に埋め込むために石もだいぶ削って形を変えた。
とっておきだった鉱石もふんだんに使ったが、まったく惜しいとは思わなかった。
この長さだが、しならない。
出来上がってから、こんな不思議な武具を使いこなして戦える者がいるのか、と思ったが、すぐに彼を思い浮かべた。
そうだった、彼のために作ったのだ。
これまでに様々な剣を打ち、槌を作り、斧をこしらえ、槍を生み出し、ナイフをしつらえた。
しかし、私が世に解き放った作品たちは、私の望むような形では誰かの役には立たなかったし、異なる結果を導いてしまったりと、満足の行く未来は得られないことが多かった。
一つには、私の武具たちが強力過ぎたことが理由になるだろうし、もう一つは命を持ってしまうことも理由だったのだと思う。
とにかく私は、それならばもう新たな命は生み出すまいと考えていた。
それでも彼なら。
もしかすると、正しく取り扱ってくれるかもしれない。
私は密かに集めていたありったけの上質な材料を使って、打った。
とにかく打った。
取り憑かれたように。
そして出来たのがこの異様に長細い槍だったのだ。