遥一閃 02 考
私のせいだ。
私のせいだ。
私のせいだ。
私が逆上して、単身オーガの巣になんて乗り込んで来てしまったから。
でも、それでも、どうしてもさらわれたユーリとウェインを助けなきゃいけないと思った。
まだ子どもだよ!?
オーガに食われるなんて許せるわけないじゃない。
レヴィンだって怒ってたもん。
でももうちょっと私が冷静だったら。
彼はこんな目に遭わずに済んだ。
ユーリとウェインだって助けられたかもしれない。
村の人たち、私たちみたいな怪しい旅人に優しかった。
あんな人懐っこいユーリとウェインが殺されるなんて無理。
違う。
そうやっていっつも私、レヴィンを危ない目に遭わせてたじゃん。
今度こそそんなことにはならないように、って決めたばっかりだったのに。
ナイフを持つ右手が震えてる。
ぶるぶるぶるぶる止まらない。
異常なほど。
だって怖いし、悲しいし、悔しいし。
レヴィン、このままじゃ死んじゃう。
すごい血。
お腹が半分ぐらい切られてる。
内臓が…。
私の命をあげるから、お願い、死なないで!
私一人じゃユーリとウェインも助けられない…。
どうしたらいい?
ああ、レヴィンが何か言おうとしてる。
もう喋らないで。
口が小刻みに動いてるのに音が出ない。
私は何もしてあげられない。
涙が止まらない。
泣いてる場合じゃないんだって。
そんなことしても何も解決しないってわかってるのに視界が霞む。
いやだ。
いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。
レヴィンもユーリもウェインも死んじゃいやだよ…。
考えろ。
落ち着け。
こうなったのは私のせい。
レヴィンは何を言おうとしてる?
い…?
……え……?
ぉ…?
いえぉ…、………に…、げ…、ろ。
レヴィンはどう見ても助からない。
少なくとも私では助けられない。
レイムガント村に逃げ帰って、一番魔術が得意な人を探す。
そうだよ、レイムガントの人たちは不思議な力を持っていた。
それに賭ける。
弱々しいレヴィンの手を握っていた左手をやんわりと開いた。
ユーリとウェインをどうにか連れ帰る。
レヴィンがやられるほどの相手であるデュアルオーガなんて私じゃ相手にならない。
どうにか退散しなきゃ。
私がやらないと、レヴィンは死ぬ。
それは絶対ダメだ。