V11. リリル・クレスティア
『ねえ。』
「え、…リリル…?」
『うん、ボクたちのこと、ピネにはもう少しちゃんと話しておこう。』
「うん。」
『ユメカゴはみんな信頼できる。だけど、ピネは異質だよ。知らないことで不幸が起きたら取り返しがつかない。』
「うん。わかった。」
『ピネは今からボクたちの世界に干渉してきてしまう。だからそこで話そう。』
「…来るね。」
†
「…ん、ここは籠様の神さまの世界ね。あ、籠様。」
「ピネ、こんにちは。」
「こんにちは!」
「こっちは私のグリムの器。」
『ボクはリリル。ようこそ。』
「リリル、はじめまして。こんにちは。神さまの世界にマスタが一緒にいてお話ができるのは初めてだなあ。楽しみ。」
『今日はね、ピネにもう少しキチンとボクやマスタのことを伝えておきたくて。』
「うん。なんだか、私特別みたいだしね。この力がユメカゴや籠様やリリルの役に立つのなら、どうすればいいか教えてください。」
「ありがとう。ピネはいわゆるハーフ、混血。この世界におけるハーフではなく、私たちの世界の血が混ざっているの。私もつい最近までわからなかった。」
「うん。色んな神さまに聞いたよ。大丈夫。神さまたちとたくさんお話させてもらう中で私は私であることに変わりはないって気付かせてもらえたから。」
『ボクとマスタの世界で問題が起きている。始めはそういう理由でここに来たわけではなかったんだけど。』
「うん。なんか思ったよりも。大ごとみたい。別の世界、かあ。疑ってないんだけど、実感が沸かないね。」
『条件が整ったら案内するよ。今はボクたちも戻ることができない。』
「そうだね。そのためにもグリムの器とマスタがたくさん必要になってしまった。」
『うん。そして集めた器たちのエネルギーが多いことで、また別の危険が迫りつつあるみたいなんだ。』
「ドラゴンのような、グリムの器を私利私欲のために利用するような目的より、さらに大規模な、って意味ね。」
「そう。どうやらユメカゴを狙っている何者かがいます。目的もわからない。」
『ボクたちの問題を解決するために、ユメカゴは、マスタと器たちは、とても大事な存在なんだ。奪われるわけにはいかない。』
「うん。私も見ず知らずの誰かに利用されるのはイヤだな。」
「そう。だから私たちは望まずとも戦わなければならない。」
「うん。」
『ここまでにいくつかの器と会話をする中で、君が器たちと繋がることができるのは、とても特別だというのはわかったよね。人間とグリムの器は互いに意思を持つ存在だけど、疎通するためのチャンネルはだいぶ波数が異なる。器側からも歩み寄ったところでコミュニケーションが取れるまでに近付くのは困難なんだ。それこそ選ばれし者と呼んでも差し支えがないほどに。だから複数の器とやり取りができる存在なんて今までは皆無。作戦の幅広さももちろん魅力だけど、意思のやり取りができる器たちの持つ力の一部でも行使できるとしたらどうだろう。』
「ピネ。貴女の希少さ、危うさがわかるかしら。知られるわけには行かない。ユメカゴの中でもできるだけ知られない方がいいわ。」
「うん。やっぱり思ったよりも珍しいんだね。それはわかったよ。私がそんなにレアだなんて全然実感沸かないけど、そうだって言うならしょうがない。で、私に何ができるの?」