V07. 輪廻の指輪
「やあ、こんにちは。」
「こ、こんにちは。わあ、最近私から話し掛けてばかりだったからこうして話し掛けてもらえるのが久しぶりでビックリしちゃった…。」
「ふふ。こんにちは。そしたら二度ビックリかな、ごめんなさいね。」
「え、…二人!?」
「そう、僕たちは二人で一組の器だからね。」
「あ、そういうことですね。わかった。梨紗さんと尚都さんの指輪だ。お話してみたかったんです。ありがとうございます!」
「貴女とはもう何度も空間を共有していた感覚があったし、どうやら他にもいくつかの器たちとも会話をしてきたようだし。そろそろ私たちともお話してくれてもいいかなって。」
「お二人はとても友好的なのですね。」
「ああ、尚都と梨紗も気に入っているし、瞬や凛も今の時代の人間にしてはとてもピュアだ。危なっかし過ぎる気はするけれど、腹の奥に何かを秘めている人間が大半にも関らず、マスタたちはそういう点でとても好ましい。ジャガーの器とも会話できたのは意外だったね。」
「ああ、でしたらもっと私はとても運が良かったなと思ったのは未知さんの神さまでした。飲み込まれるかと思った。」
「なんですって。ヴォイドとも会話していたのね。貴女も十分危なっかしい…。いえ、でも無意識・無自覚に接続してしまうのだとしたら、不可避なのかしら。よく無事だったわね。」
「似たようなことを言われました。だけど、みなさんとても個性的で、結局とても親切です。グリムの器は、私の神さまです、やっぱり。溢れ返る人間よりもよっぽど信用できる。」
「ああ。心許せぬ人間とのコミュニケーションが多かったんだね。人間はとても美しく儚いが、今のこの平和な時代には薄汚れている者も多く見受けられる。我々は運がいい。良きマスタに巡り合えて。」
「あ、そうだ。お二人は、エルハイミアンって知ってますか…?」
「その言葉はどこで?」
「ジャガーの神さまから。」
「グリムの器でも知らない者がいるかもしれない言葉。んー、なるほど。今はまだその言葉の意味を貴女が知るべきではないかも。」
「そうなのですね。それじゃあその時が来たら教えてください。」
「うん。そうね。貴女は、…いえ、梨紗も、尚都も、みんなこれからきっと大変。私たちはできる限り力になるからね。」
「はい。ありがとうございます。んー、もう一つ。虹の妖精さんは何者なのでしょう。」
「虹の妖精、か。または籠様。彼女も悲劇のヒロインだ。」
「ユメカゴは何を成すための集まりですか?」
「あの子はね、探しているの。」
「何を?」
「遥か昔に失ってしまったものを。」
「見つかりますか?」
「わからないわ。でも、見つかって欲しいわね。」
「しかし、彼女の探し物の旅はそれだけでは済まない、世界に大きな意味をもたらすものとなってしまっている。それこそ世界の命運を握っていると言っても過言ではないほどだ。」
「世界の命運を握っている旅…。」
「エルハイミアンのことも、もう少し色々なことが詳しくわかると自然と知識として入ってくるかもしれない。」
「まだ私、知らないことばかりなんですね。」
「そうね。でも、慌てずに行きましょう。今のユメカゴは奇跡のような、一縷の望みとも思える。事を急くことは悪手とも思えるから。」
「はい…。なんだか、もしかしたら私が思っているよりも、大きな渦に巻き込まれているのかも、ということがわかりました。」