Grim Saga Project

V06. 約定天鎖

 
 
 
ジャガーという名は野生動物のようでとてもカッコイイ。
格好も変わっていて、パッと見は街で見掛けたら間違いなく近づきたくない感じ。
トライバルというファッションだそうだ。

銀の長髪がボサッとしているけれど、顔立ちは整っている。
私はわからないけれどきっと世間一般では好ましく感じる女性も多いだろう。
髪色に合わせているのか、シルバーアクセサリをとてもたくさん身につけていて、動くとじゃらじゃらと音がする。
重そうだなと思ったが口にはしなかった。

そんな一見近寄りがたい彼から神さまの気配を感じた。



「これは、鉄?色んな金属がたくさんある。鈍色、銀色、透明なのもある。」

「…お前にはそう見えるのだな。」

「金属の神さま?」

「…俺は神ではない。鎖だ。」

「鎖?」

「ち。強制的に接続されるとは、ツイてないぜ。」

「ふふ。面白い。今までで一番人間みたいな神さまね。」

「俺が人間みたいだと。バカを言え。俺は呪われた鎖だ。」

「なぜ呪われていると思うの?」

「…あっぶねぇ。お前さんのペースに乗せられるわけにはいかねぇ。お前さんと話すことはないよ。こうやって会話してるのも強制接続されたからだ。だんまり決めこんでもしつこそうだしな。」

「ふふ。ありがとうございます。お話してくれて。でも無理に話して欲しいとは思ってないから今日はこれでおしまい。またお会いしましょう。」

「おいおい、待て。今日、は、だと!?また話し掛けるつもりかよ、勘弁してくれ。」

「この勝手に繋がっちゃうのはね、申し訳ないけど無意識なんです。色んな神さまにご迷惑お掛けしてます。」

「よくお前さん今まで無事だったな…、あ、いや、お前も器持ちか、なるほど。なんてこった。」

「心配してくれるんですね。嬉しいです。でもここまでお話した神さまたちはみなさん優しかったので大丈夫じゃないかなあ。」

「チッ。器持ちに強制接続、おまけに甘ちゃんとはな。まあ、わからんでもない。だが俺はやめてくれ、迷惑だ。呪われてる理由、簡単だよ。俺はマスタに不幸をもたらす。」

「望んで?」

「いや、望んじゃいない。だったらマスタなんぞ選ばない。」

「それでもマスタを選んだ。」

「ああ、コイツはほっとけなくてな。まあ、とにかく俺たちには関わらねぇでくれ。って、お前さんもユメカゴか…。」

「はい。鎖の神さまの気が向かない時は話し掛けませんから。すみません。」

「いや、待てよ。しかし、お前さん、ただの人間じゃねぇな。」

「私は知らなかったのですが、どうやらそのようなのです。交わり者だって。」

「そんなことがあり得るのか。」

「アナタは私を人間と何のハーフだと思われましたか?」

「エルハイミアンだ。」

「エルハイミアン…?」

「いや、お前さんがその言葉を知る日が来ればな。またいずれ。」

「はい。ありがとうございました!」

「いや、俺の方こそ悪かった。お嬢ちゃんが悪いんじゃねぇ。こいつぁ厄介なことになったかもしれねぇな。まあ、またそのうちな。」

「はい。」

「あ、ちなみによ。言っておくが、じゃがいもだ。」

「え?じゃがいも?」

「ジャガーなんてカッコつけたあだ名みたいになってるが、こいつの元々のあだ名はじゃがいもだ。そんなカッコイイもんじゃねえよ。」

「え、ふふ、じゃがいも…ふ、あはは。」

「じゃあな。」