V02.
「ん…、アナタは…え、と、セツナの、あ、じゃない、瞬の、神さまかな。」
「感応力が高いのですね。私から話しかけていないのに意識が繋がったことを感じ取った。」
「はい!昔から、いくつかのアナタたちのような、人とはまた違う方々とお話する機会がたくさんあって。戸惑うことが多かったのですが、私の神さまのおかげもあって今はようやくだいぶ慣れてきました。」
「これは驚いた。そうなのですね。私は長く現世を見て来ましたが、貴女のような器との意識の繋がりを持てる方は初めてです。」
「あ、でもそういえば私から話し掛けることは滅多にないですね。すみません。気がついてしまったもので、驚かせてしまいましたか…?」
「いえ。嬉しいです。貴女のことを、貴女の神はとても大事にしているので、ちょっと興味を持ってしまいました。まさかこんな風に繋がるとは。」
「えへへ、瞬の神さまとお話できて嬉しいです。私の神さまとは毎日お話しているけど、他の神さまとはあんまりお話しちゃいけないかなって思っていたから、久しぶりです。瞬たちと仲良くさせてもらってから、神さまってたくさんいるんだなって思ってました。」
「貴女のその器との感応力、気付いていないかもしれませんが、他の人間にはない能力です。私たちグリムの器は、ほとんどの場合、マスタと定めた特定の人間と意識を近づけることでようやくその特定のマスタとだけコミュニケーションを取ることができる。」
「え、みんなこうして神さまとお話できると思っていたけど違ったんですね。それじゃあ私はとっても運がいいな。」
「ええ。そうですね。ただ、気をつけてください。貴女の神が守ってくれているとはいえ、私たちグリムの器も貴女たちが思うような神ではないのです。万能ではない。人間同様、色々な者がいる。悪しき意図、何らかの悪意を持って近づいてくる者がいるかもしれない。」
「へえ、そうだったんですね。知りませんでした。教えてくれてありがとうございます。気をつけます。それではアナタは瞬としか普段は話さないのですか?」
「ええ、それも貴女のように頻繁に毎日というわけではなく、必要に応じてごくたまに、です。」
「寂しくないですか?」
「ふふふ。貴女は優しいですね。大丈夫。私たちは人間よりも遥かに長く意識を保って存在し続けてます。その長い時間の中で、こうして誰かとコミュニケーションを取れる期間の方がとても少ないのです。自分が認めたマスタがいるだけで、少なくとも私にとっては寂しくはない、とても恵まれた時間ですよ。」
「そうなのですね。瞬の神さま、私ともまたお話してくれますか?」
「ええ、もちろん。貴女が私のマスタと共に過ごす、同じ道を歩むのであればまたそういう機会もきっとあるでしょう。」
「ほかにも凛ちゃんや、梨紗さん、尚都さんにも神さまがいますよね。みなさんともお話できるでしょうか。」
「ああ、それもわかっているんですね。そうか、だから貴女は意識の中でコミュニケーションを取ることに慣れ過ぎていて、人間同士での発声を伴うコミュニケーションが少し遅れてしまった。カナメや瞬たちと出会ったことで発声も慣れて来た。」
「あ、そっか。だから私、おしゃべり上手に出来なかったんですね。神さまとは上手にお話できるのに、どうしてだろうと思っていたんです。不器用でどちらも上手にはできなくて、カナメさんにも瞬にもごめんなさいって思ってました。」
「いいえ。カナメも瞬も、貴女もわかる通り、貴女が発声が得意でなくても、気にはしていないでしょう。」
「はい。こんなに素敵な人たちがいるってわかって、初めてなんだかちゃんと生きている気がしています。カナメさんも瞬も、みんなも大好き。出会えて、お友達になれてすごく嬉しいです。」
「貴女はとても素直ですね。瞬もみんなも喜んでいます。」
「良かったぁ。でも私、世の中には嫌いな人間しかいないと思っていたから、どういう風にすればいいかわからないことばかりです。」
「大丈夫、貴女はそのままで。」
「ありがとう。瞬の神さまにも話し掛けてみて良かった。」
「ええ、またお話しましょう。」
「はい!」