六歩目は何故
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どうして、エンデル・フロシェールは未知に直接語りかけるようなことをしたのだろう。
私を介すよりその方が早かっただけのことなのか、または何らか別の理由があるのか。
どうして、未知は私にすぐに相談しなかったのだろう。
とてもデリケートな問題であることはわかっているけれど。
こうして早かれ遅かれわかることを先延ばしにするのは、なんとなく腑に落ちない。
どうして、あの男は今このタイミングでこんなところに来たのだろう。
偶然だろうか。
それにしては出来すぎてやしまいか。
未来は…。
一体どうなってしまったのか。
生きているのだろうか。
なにかこう、どうも違和感が拭えない。
なぜ今になって。
未知は平静を保っているのだろうか。
彼女に秘められた狂気性のようなものは、以前から感じていて、理性的かつ知性的であるからこそ、箍が外れたらどうなってしまうのかわからない恐ろしさのような気配もある。
最悪の想像をすれば、いくらでもできるが、現段階でのそれは、なんのリスクヘッジにもならないどころか自分自身を不安にさせるだけのネガティヴな思考でしかない。
やめておくことにする。
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