三歩目は未曾有の問い掛け
「で?誰なの?この人。」
「ふふ。驚いた?」
「や、驚いたけどそうじゃなくてさ。」
「秘密兵器。」
「え?」
「私の長く抱えてきた問題を解決に導く秘密兵器よ。」
「相変わらず訳わかんないんだからもう。ハイ、ちゃんと説明。」
「兄の手掛かりを持つ男。」
「ウソでしょ。」
「ウソじゃない。」
「なんで?なんでそんなことがわかったの?」
「それは今のところまだ控えておく。」
「いや、あの、お取込み中悪りぃんだけど、マジで話がなんにも見えねぇよ…。」
「あ、ごめんなさい。私はこの変わった子の友人。で?ホントなの?」
「だから全然話が見えねぇってば。」
「あのね、ゼロ。聞きたいことがあるの。」
「今かよ…。オレ事前に何も聞かれてねぇぞ。」
「根拠は希薄だけど確実なの。私にとっては。貴方は私の兄を知っているはず。私の兄はミライって言う名なの。聞き覚えは?」
「ミライ…、マジかよ。たしかに知ってる。アンタがあのミライの妹だってのか。」
「ほらね。」
「ミチ…、どうして、それ私の前でやったの?」
「さっき控えた根拠が貴女に関係があるから。」
「あ。そういうこと?エンデル・フロシェールが私以外にも語りかけることがあるのね。」
「なんで今になってミライの妹がオレに接触してきた?むしろミライのことを聞きたいのはオレの方だ。」
「兄はもう葬儀まで済ませているの。でも私は納得いってない。顔を見ていない。遺体もなかったんだから。」
「なんだと?」