046 B15 トリオアゲイン
ん…、うぅ。
あれ、なんか身体が、…動かない、っていうか痛いな。
えっと、なんだっけ。
埃っぽい。
狭い。
硬い。
冷たい。
…そうだ。
思い出してきた。
ヴォイドだ。
あの黒い器を解き放った直後から、超自然現象のような地響きや大気の震えが起きて、ヴォイドは研究所を破壊しながら上昇していった。
部屋が崩落し始めたので、凛・美愛と堤さんを巻き込んで、美愛の瞬間移動による脱出を試みた。
近場への移動だと崩落に巻き込まれる危険が高そうだったため、見えない場所への移動ではあるがありったけの力で遠くへ飛んでもらった。
結果、地下から地上へのジャンプだったこともあってか、空中に移動し数メートルほど落下。
崩落地点からも離脱しきれず、落ちた先は研究所の瓦礫が転がる災害現場のような場所。
固まって移動した四人も空中分解して近くに落下した、ということのようだ。
意識が戻ったということは死んではいない。
崩落の途中で瞬間移動したため、まだ瓦礫が降り注いだのだろう。
左腕が動かない。
どうなっているのか見ようとしたが暗くて見えないし、身動きが取れない。
凛、美愛、堤さんは無事だろうか。
暗いところで透視を使ったことがなかったので試してみたけれど、何も見えない。
やはり、通常の視界の拡張で物理的障壁をすり抜けて見える能力のようだ。
ということは、これまた試したことはないけれど暗闇の部屋を透視した場合は、その部屋の中は何も見えないことになる。
今度試してみようと思った。
左腕以外はある程度動くのだが、左腕が何かに挟まれて動かないせいで身動きはできない。
右手で近くを探ってみたり、両足を動かして周囲を確かめたが、土や石だと思われるものが当たる。
しばらくして、視界に光がもたらされた。