044 X03 混沌
意を決し、仲間たちと合流することにした。
ペア、リサ、ナスくんとはじめましての二人の女性がいるのを水谷科学研究所正門前の駐車場で見つけた。
大体のことは把握していたが、一応断片的に話を聞くことでもう少し明確になる。
ジャガーが水谷夕心と未来について病院にいる。
今、ヴォイドが破壊し始めた研究所内にいるのはキューちゃんとアップルとオレンジ。
そして、堤氏。
なにこの妖精さん…、と小声で発したのが、水谷夕心の娘で未来の妹、アンノウン。
隣で落ち着かない素振りのバルミーは、器ととても特殊な関係を築いているマスタだ。
さて、私はヴォイドと話をしなければならない。
「黒王よ。貴方は何を望む?」
「我は何も望んではおらぬ。」
「久方振りの現世での自由の基何を成す?」
「そうよのう。また興味深い人間のマスタでも探すか。」
「貴方は人を滅ぼすつもりではないのだな?」
「滅ぼす?…嗚呼、そうか。力が滾っているせいで怯えているのか。しばし調整に時間が掛かるが、そんなことはせぬ。して、器ではない主は何者ぞ。」
「私は異国から来た守者。故あって旅の道すがらこの地に留まっている。」
「…なるほど。亜人か。」
「人を原種と捉えればそうかもしれない。」
「主は我に何を望む。」
「何も望まない。いたずらな破壊を行う存在かどうかを確かめたまで。」
「ほう。行う場合はなんとする?」
「この命尽きようとも抗うまで。」
「なぜ異種であるこの者たちを守ろうとする?」
「守者だから。」
「道理だ。一つ尋ねよう、亜人よ。ミクと同等かそれ以上に興味深い者は居るか?」
「ん。おそらくたくさんいよう。」
「ほう。つまらん存在ばかりかとも思ったがそうでもないということか。」
「試してみるか?」
「試す価値のある者がいると?」
「ええ。私の周りにはたくさんいる。ではミクの娘は?」
「ふふ。それはたしかに一興。」