040 B14 脱出再度
「こんにちは。堤さん。」
「え、貴方たちは…。」
「ええ、そこの器の言う通り、私たちはあの部屋から脱出しました。もちろん、水谷所長と未来氏も一緒に。だから、私たちと同じように二人とも生きています。」
「なんで。どうやって。」
「教える道理はないけどさ、貴女の常識で図れないことがたくさんある、ってこと。ここにウチたちがいるのも同じ理由よ。」
「さて、堤さん。種明かしをしてる場合じゃないんです。終わりにしますね。」
†
直前の段取りの通り、直後に美愛に触れてもらって堤さんの背後に移動。
僕は彼女の首に腕を回して絞め落とした。
武術の心得はなかったが、色々許せなかった。
だから、恐れずに。
女性の気を失わせるなんて、元々はそんなこと避けたいタイプである自覚は大いにあるけれど、今はそれが最前手だと思った。
堤さんが本当に意識を失う前に、気を失う演技をする可能性や、武器を所持している可能性なんかも考えたけれど、すんなり成功した。
†
「さて、黒い器。僕たちは貴方もここから連れ出したい。その箱が何らかの制限を掛けているのかもしれないが、取り出して構わないだろうか。」
「ああ。察しの通り、そこの女がこの箱で我の力を吸い続けていた。ほとんど自由が利かぬ。解放してくれるのであれば助かる。」
「わかった。凛、きっとさっきまで堤さんはPCからその箱のコントロールをしていた。僕は念のため、堤さんを拘束しておきたい。ソフトから機能を停止させられないか見てくれないかな。」
「了解…。うん、仕組みはわからないけど、コントローラーアプリはUIがわかりやすい。どうにかできるかも。え…っと、これとこれをOFFにしてから、んー、あとロックを解除して落とせば行けるかな。どう?」
「うむ。停止した。これなら貴様らが我をこの箱から取り出すこともできるはずだ。」
「凛、待って。それは僕が。美愛、堤さんの両手を後ろ手で縛って欲しい。部屋の中に何か紐とかないか探してくれないかな。」
「おっけ。凛ちゃん、ちょっと見ててね。意識ないから大丈夫だと思う。」