039 C12 更なる一手を求めて
「で、どうする?」
「このまま待ってるのはリサがツライのなら、時間は掛かるかもしれないけどやってみてもいいよ。」
「んー、どうしよう。もちろん焦るんだけど。ペア、どう思う?」
「私が聞いた印象では、バルミーのその能力はアームチェアディテクティブっぽいよね。なにか他に制約とか特徴はない?」
「うーん、大体伝えたと思うけど、一斉に緊急行動を取る可能性があるなら避けた方がいいかも。疲れる、っていうのが尋常じゃなくて下手すると動けなくなるんだよね…。」
「そんなに疲労するんだ。そしたら、待とうか。私大丈夫。ただあの子たちを心配しちゃってるだけなんだもん。」
「うん。リサが賢明かな。だけど、最悪の可能性を考えたときにできることがないかはやっぱり考えていたいとも思う。」
「病院に向かった二人がいたらできること増えるかな。」
「尚都がいても増えない、と思う。ある程度把握しているけど、そういう感じじゃないんだよね。ペア、ジャガーはどうなの?」
「うーん。能力の不完全さもあるけど、私が知っている範囲では彼の能力もこの状況を打破できるようなものではないなぁ。」
「さすがに飛び込んでいくわけにも行かないもんね。オレンジちゃんあっての隠密特攻だったわけだし。」
「うん。それは瞬も凛ちゃんもオレンジもよくわかってるから、さすがに戻ってくるとは思うんだけど…。」
「一つ、もしかしたら可能性を思いついたかも。」
「え?」
「尚都に戻って来てもらう必要はあるんだけど。私と尚都がつけてるペアのリングは、二つ揃うことでこれまで強力な力を発揮したことがあるんだ。だから、明確ではないけど何かできることが増えるかも。」
「例えばどんなことができる可能性があるの?」
「グリムの器の共通能力に記憶の読み取りがあると思うんだけど、おそらくそれが強化されることで現在の記憶を読み取るせいか、特定の対象、これは器自身が選ぶのでうまくいくかはわからないけど、その対象の思考が私たちの頭の中に伝わってきたことがあるの。だから、今うまく行けば潜入してる三人のうちの誰かの思考にアクセスできないかなって。」
「それはそれでエラいチートスキルだね…。」
「ホントに。それこそ対象が選べて悪用でもされようものなら最悪の能力になりそう。」
「まあね…。ちょっと一応今の状況を尚都に確認してみるね。」