Grim Saga Project

034 B12 GO OR BACK

 
 
 
「んー、瞬と凛ちゃんにしよか。選抜メンバー。」
 
「え?なんで?」
 
「オレンジ、それはどうかなぁ。二人も悪くないけど、堤さんの顔がわかって未久さんにも会ってるメンバーは欲しい気がする。」
 
「ぶっちゃけバルミーとアンノウンはまだウチにとっては得体が知れないんよ。性格もそんな知らないし。ペアも能力知らんし。リサさんもね。そしたら、瞬と凛がいい。顔なんかわからなくても異常は検知できるよ。全部テレポートで見て回るわけに行かないから瞬の力は必要だし、危機の時どうにかできるんは凛ちゃんでしょ。」
 
「オレンジちゃん、めちゃくちゃ賢いね。私は賛成。大事な弟と彼女をお願いね。」
 
「うん。私もびっくりだな。そういうことなら任せる。」
 
「オッケー。そんじゃ行こっか。あと二人とも約束ね。今回はわざわざ危険の中に飛び込んでくようなもんだから、ウチと手を離さないこと。何かあったら逃げよ。んで、ペアに報告してどうにかしよう。」
 
 
 

 
 
 
「ちょっとずつ行こう。瞬、色々見てみて。」
 
「了解。次の飛び先も見ながら相談するから、慌てずに行こうか。」
 
「ほい。まだ中は普通だね。」
 
「うん、やっぱ研究階…、地下の方に向かわないと何もないかな。」
 
「瞬、どう?地下見える?」
 
「少し遠いんだ。この距離感だとツーフロア分ぐらい見通してやっと少し手掛かりが見える。できないことはないけど時間が掛かる。」
 
「それやったら行こうか。地下。」
 
「うーん、私反対。人影でも見えてからならいいよ。瞬が見て燃えてなくても一酸化炭素中毒とかあり得るもん。」
 
「そうか。もう少し見てみるよ。二人は周囲の警戒を頼む。」
 
「了解。手汗びちゃびちゃでも絶対手は繋いでてな。」
 
 
 

 
 
 
「いた。一人で奥まった部屋にいる女性研究者。なにをしてるんだろう。パソコンに向かってるね。」
 
「特別研究室からどれぐらい離れてる?」
 
「えーっと、入り口はぐるっと回らないといけないみたいで、普通に歩いたら遠そうなんだけど、部屋自体は特別研究室の裏側にあたるから隣接している作りかな。」
 
「そんな風になってたんだね。特別研究室が一番奥かと思った。」
 
「うん。なんとなく全体見た感じ、隠し部屋と言っても良いかも。小さな部屋だな。うーん、これぐるっと回ったところでどうやって行くんだ?」
 
「どうしようか。瞬もそろそろキツイよね。美愛、まだ飛べるの?」
 
「うーん、そうねぇ、今ざっくり半分ぐらいかな。まだすぐには底をつくわけじゃないかな。」
 
「うん。僕もまだ大丈夫。一応こちらもだいぶ訓練してあるんだ。でも、そうだな…、10分見続けるのはちょっとしんどいかも。」
 
「撤退しようか。堤さんらしき人を隠し部屋で発見しただけでも十分成果ではあるよ。」
 
「ただ、隠し部屋のような作りになってることがわかってさ、一つ心配は増えたんだ。今ここで諦めたら、僕らが知る研究所の出入口以外の、下手したら他の研究者たちも知らないような裏口があったら逃してしまうかもしれない。」
 
「決め時だね。凛ちゃん、ウチも瞬も言うてぼちぼち消耗はしてる。ジャッジ任せたい。」
 
「うん。そしたら戻ろう。私にとっては瞬と美愛を危険に晒すのが一番イヤ。」