026 C08 すべてを破壊することなんてできない
先頭を行っていたペアとリサが、白衣に身を包んだ研究者が倒れているのを発見した。
すでに室内は周囲の燃え盛る炎でかなり熱い。
ペアとリサの元にバルミーとアンノウンが駆け寄ろうとするが、バルミーがアンノウンを制した。
遠目からでも倒れているのが、なんとなく水谷所長ではないかという気がしていたから、バルミーがアンノウンを止めたのはわかる。
水谷所長はアンノウンの父親だから、状態によってはショックが大きいかもしれない。
「これは所長です。この水谷科学研究所の水谷夕心所長。アンノウンの父親。」
「え。」
「頸動脈と瞳孔を確認したけれど、ちゃんと生きている。大丈夫。アンノウンさんにも来てもらって平気。でもちょっとおかしいな。火災に伴う煙を吸ったというほどまだここは煙で充満していない。時間の問題だろうけど。大怪我をしているようでもなくて、見たところただ眠らされているような…。」
「アンノウン、大丈夫だって。」
「うん。ありがとう。私は大丈夫。ほかにも誰かいないか探しましょう。」
「ジャガーとナスくんが手分けして他も見てくれてるから、私たちは慌てずにお父様を助けましょう。」
「…どうしたの?ペア。」
「リサ、…堤さんは?」
「そういえばさっきの呼びかけに答えない辺りから見かけない…、あ、ヤバいね、これ。」
「うん。外のリンとシュンには連絡が取れる?」
「ダメだね。ケータイの電波が入らない。急いで入口を確認しよう。」
ペアが急いで入口を確認したが、察していたとおりドアは開かなくなっていた。
さらに、オレとナスでもう一人意識のない研究者を奥から発見した。
それは水谷未来であった。