023 C07 それはクラウディ
不謹慎かもしれないが、合流した直後のアンノウンとバルミーは一瞬ペアの美貌に呆気に取られていた気がした。
俺とナス以外が女性だ。
呼び方の確認後、ハッとした様子で災厄の在り処に向かう意識を取り戻した、という印象。
堤女史は先ほど居た地下の研究階に向かうと言う。
自らの気持ちを落ち着かせるように、あえて走らずに歩いている、という様子に思える。
エレベーターで地下へ。
シャッと扉が開いた直後、漠然とした不安が具体的な危機へのイメージに変容していく。
研究階はかなり煙が充満していた。
先がまったく見えないわけではなかったが、数メートル先で視界がすでにぼやけている。
先ほど訪れた時には、どこまでも続く無機質な廊下が延々と続いていて、永遠のように感じられたのだが。
みなさん、ここから先は危険です、と堤女史が戻る者を募る。
誰もその素振りすらなく、先を促した。
堤女史は、特に誰かを無理に引き返させることもなく、無言で歩き出す。
先ほどのミライのいた部屋の辺りをおそらく通り過ぎて、その先、水谷所長が向かった更なる奥の空間に向かっている。
当然、何らかの爆発が起こったのはこの研究所の特性と併せて考えると、研究と関係があるのではないかと推測できる。
向かう先には何がしかの研究室があるのだろう。
しかし、研究のミスだったとして、爆発が起きるものだろうか。
科学には詳しくないので、具体的な事由を想像することはできず、この先に何があるのかもあまりイメージは沸かなかった。
堤女史が足を止めた。