020 B08 白
それでも僕は目を離さなかった。
謎の女性がこちらを見る。
おそらく実際は数秒だったのだろうけれど、僕には永遠に感じられるほどの硬直。
目は離さなかったのではなくて、離せなかったのかもしれない。
その後彼女はジャガーたちを振り返り、僕は凝視状態から逃れたのだけれど、それでもしばらく動けない。
その女性は気付くと視界から消えていて、また別の女性が部屋に入る。
ずっと見ていたはずなのに、急に視界の時間が飛んだように見えたほどだ。
そして、その女性に連れられてジャガーたちが部屋を出る。
雰囲気的にこれは出て来る流れだなと思われた。
だいぶ長い時間能力を使ってしまったので、少し疲労も感じ始めたところだ。
一区切りにして、姉たちに一度状況報告をしよう。
刹那。
目の前が突如真っ白になった。
あれ?
まだ能力は解除してないよな…?
今までにない視界になり、何だろうと思った瞬間、物凄い爆音が耳を劈き、激しい衝撃を受けて、僕は訳がわからなくなった。