Grim Saga Project

015 B07 新たなる可能性

 
 
 
僕はふと思いついて、水谷科学研究所の壁すれすれまで近付いた。
それだけでみんなにはもう何をしようとしているかわかる。
能力の行使だ。
 
そして今は、この能力の出所であるティアがある。
実はティアを首飾りにして身につけてから、力の源泉との距離が縮まった影響か、能力は格段に強化されていた。
それを知っているのは凛だけである。
 
両目に集中する。
そして繰り返した特訓の成果もあり、能力を利用していられる時間は伸びているし、範囲も拡大している。
研究所の入口脇の壁越しに中を見始める。
僕の持つ特殊な能力は透視だ。
 
中はかなり広い。
地下があることもわかる。
見つけた。
入口から少し離れた部屋だけど、1階に居て良かった。
久しぶりに見たジャガーの姿、まずは何はともあれ無事だった。
同じ部屋に女性が三人いる。
どの人も見たことはない。
 
慌てる必要がなさそうであることや、情報通り実際にジャガーがここにいることを確認できただけで十分だ。
しかし、能力を止めようとした瞬間、ジャガーと一緒にいた女性の一人がふとこっちを見た。
気付かれた?まさか…。