010 B04 ミイラ取りはミイラになるのか
ラムの運転は可もなく不可もなく、慣れてはいるようだな、という印象。
疲れるようなら代わると伝えていた。
とはいえ、僕は身分証として運転免許証を持っているだけで、特別慣れてもうまくもない。
俗に言うペーパードライバだ。
早めの夕飯を済ませて、ロングドライブがスタートしたわけだけど、到着見込みは夜。
22時とかだろう。
ジャガーの状況はわからないが、少なくとも姉・尚都と合流することでもう少し詳細が判明するはず。
こんな時間に合流するほど、もしかしたら緊迫した事態かもしれないということだ。
12時間というのは長い。
潜入の目的がわからないけれど、ジャガーは半日戻れない場合は、自分の身に何かが生じている、と判断している。
危険な動きだ。
あらかじめリスクが見えているのに、その事象に取り組むということが、まずはすごい。
純粋にポジティブの表現である。
潜入というのはどういうことか。
文字通り潜んで入るのか。
そうしなければいけない理由は何か。
どうしても色々考えてはしまうけれど、まずは姉たちとの合流を考えなければ。
車内は、運転席にラム、助手席に凛、後部座席に僕が座っている。
凛はラムが眠くならないように気を遣って話しかけているように見えるが、ラムがまだ眠くないから大丈夫だよ、とちょこちょこ返す。
時折盛り上がったり、静かなまま走り続けたりを繰り返している。
なんとなくラムはスピードを出す方かな、なんてイメージしていたが、そんなことはなく危なげなかった。
嵐の前の静けさというか、むしろこれから大変なことが起きることを予兆しているのかな、などとネガティヴな思考がよぎっていることを自覚していた。