Grim Saga Project

001 A01 繋がる綻ぶ

 
 
 
「妙なことになったな…。」
 
「えー、いいじゃん、もうせっかくだからさ、珍しく長めのドライブデート、って考えた方がハッピーだと思うんだよね、私は!」
 
「はは、まあ梨紗の言う通りだ。」
 
 
 
すでに受けていた依頼は打ち切りを告げられていた。
依頼主は、十分に調査としては情報が集まったと言っていたが、あれはウソだ。
俺は、いや、俺たちはハッキリ言って例の集団(俺たちは"教団"と呼ぶことにした)について、結局何も見出せていない。
せめて繋がりが欲しかった。
なんの共通点もなく、集団として認識することができない。
 
教団は依頼時点で何らかの繋がりを疑われていたからこそ調査依頼が来たはず。
そう捉えた時、結果の報告内容には満足できるはずもなかった。
何の繋がりも見出せなかったのだから。
そんなもやもやを、俺も梨紗もどこかに秘めていて、お互いにわかっていて。
 
 
 
「どうして志田樹を追ってみることにしたの?」
 
「いやー、わかんね。なんで今日だったのか、っつったらガマンできなくなったのが今日だっただけなんだろうなぁ。」
 
「尚都らしくていいんじゃない。」
 
「つーか梨紗こそさー、ドライブデートだっつった直後にこの話かよー。」
 
「あ、ホントだね。参った参った。」
 
 
 
調査依頼のあった男、志田樹。
追えども追えども何も出ない。
いや、女性関係についてはいくらでも出てくるのだが、なにかおかしい。
相手の数が多すぎたし、関係性もまちまち。
しかし、それ以上何もない。
 
そんな調査がしばらく続き、大きな進展もないまま不完全燃焼のまま終了した。
だから、俺たちと志田樹はもう何も関係のない赤の他人だ。
そんなことはわかっている。
わかっていて、突発的に尾行してしまって今に至る。