Grim Saga Project

02 ごまかしているのか?

 
 
 
いやいや。
オレは生きようとしている。
どん底まで落ちたとは思うが、あとは上がるしかないと割り切った。
だから希望を持ってここにいる。
よし。
 
 
 
「じゃあどうしてそんなひどい顔してるのかしら…、わからないわぁ。」
 
 
 
ルックスも表情も感情表現も、そういえば悪く言われたことがなかった。
なるほど、これは不快だ。
持って生まれた自分という素材が、あまり品質の高いものではなかった場合、オレには理解できない自己肯定不可能な考え方になり、きっと他者から言われるネガティブな表現に対してそれを認め受け入れてしまう気持ちになるのだろう。
初めて心が折れて、初めて図に乗っていた自分を認識して、初めて色んな気持ちについて歩み寄ろうとして。
それによる発見が多いことには気付けた。
 
それでもオレは今前向きか。
いや、まだだ。
落ちるところまで落ちて、今は上がろうとしてもがいている、というのが自分なりの解釈。
そのきっかけを探しに、そしてつかみに来た。
見つからなかったら、オレは死にたくなるのだろうか。
 
ちょっと可笑しくなった。
あんな他愛もない一言にこんなに揺さぶられたのも初めてだったからだ。
悔しいが、サンドイッチが美味い。
 
 
 
「そう、良かったわ。ばあやは何を作らせても上手なのよねぇ。アイスティはおじさまの作り立てが最高だけれど。ところで、その探し物?きっかけ?ってなあに?私お手伝いできるかもしれない。」
 
 
 
は?
手伝う?
いや、ばあや?
こいつは何者だ。
なんのためにオレに近づいた?
待てよ、そうか。
こいつは金持ちだ。
オレが探しに来たものを知っている。
だからか、そうか。
しかし、悠長にサンドイッチを食いながら雑談をしてる理由も、力を貸すという理由もわからない。
例えば、こいつを奪うために近づいたにしては、仲良くなる素振りでもなければ、そういった思惑も何も見えない。
なんなんだ一体。
いずれにせよ、オレの探し物はきっとミチから繋がる。
ただの感覚だが。
色々と訳はわからないけれど、一旦ちゃんと会話しておいた方がいいのだろう。
情報は多いに越したことはないのだ。
 
 
 
「ふう。で?アンタバカなの?なにごまかしてばっかりいるの?」
 
 
 
なんだと?