幸福キャンパス 061
「で?それと今回の事件、どこに接点が?」
「うん。まあ焦らない焦らない。一応繋がるけどだいぶ間接的だし。その超浮気男ね、名前が志田樹って言うの。」
「え…。」
「そ、君たちの学友ユウキの父であり、マシロが会ってきた志田樹林の息子でもある。だから寝泊まりする場所は様々だけど、活動拠点は志田病院だ。院長だからね。」
「うええ、なにそれ。なんでそんなとこで繋がるの、キモいんだけど…。」
「でも、リサさん、それだけじゃないんでしょう?」
「おー、リンは相変わらずキレるなー。その浮気相手の女の子たちさ、俺が調べてた組織に所属してることがわかってきちまった。」
「それがなんの組織なのかは言えない、ってことなんですよね?」
「いや、それがさ、わかんねえんだ。依頼者すら。ある意味趣味のサークルみたいでもあるし、ただの友達と言っても通りそうだし、なんつーか繋がりがひとところじゃなくで、バラバラに繋がってく。一同には介さない、なんつーかな、シナプス結合みたいな。」
「なんか微妙に繋がって来ますね、たしかに。」
「え?どこ?ウチ全然わからんかった。」
「志田家以外に今出たのは謎の組織だよね。僕らの事件もあったじゃない、そういうの。」
「あ。まだ明らかにされてない、ユキちゃんとサオリちゃんが所属してた、っていう組織…。」
「うん。なんか似てるような似てないような、微妙な繋がり方だよね。同じ組織だとしたら?」
「なんか漠然とイメージしてたのと違う。もっと麻薬取引の組織ってこう、悪そうっていうか暴力団っぽかったりマフィアっぽかったり?」
「そう。だから、気持ちが悪いな、ってのが俺とリサの印象。まだ何も直接は繋がらないんだ。だけど、遠からずというか微妙な近しさ、共通点を見出せてしまう。」
「でも、そしたらそのむずがゆい状況でこうして集まったのはどういうこと?」
「私もナオトもね、何もすべての謎を明らかにしたい、みたいな大仰な目的ではないの。でもきっとまだ見えてないものがたくさんあるよね、これ。もう少しだけ見えるようにしたい。」
「うん、姉さんたちの言うことはわかるってば。だからといって具体的に何か動けるとも思えないんだけど。」
「一つ考えたんだ。もう一歩だけ踏み込めそうな方法。」