Grim Saga Project

幸福キャンパス 055

 
 
 




「よう、嬢ちゃん。色々助かったぜ。あの少年たち、思ったよりイキが良くて驚いたが、とりあえず被害が最低限に食い止められた。」

「ええ、私も聞いて驚きました。昔の、私が知っている彼らではないみたい。ご迷惑をお掛けしました。ところで…、終わってませんよね?」

「ああ、俺とアンタがこうして事件直後に話してる時点で残念ながらな。」

「水野紗織と姫川悠季の後ろですね。」

「ああ、芋づるかと思ったら一向に見えねぇ。」

「銚子和真と坂藤堅一との接点からも見えないんですね?」

「一点引っかかってる。今日は嬢ちゃんにそれを聞きに来たってわけだ。」

「はい。」

「器だ。浅井鞠雄から色々聞いた話の中に出てきたワードなんだが心当たりは?」

「戌亥さん、それ私を試す意図じゃないですよね?」

「あ?」

「あれ?もしかして、本当にわからなかったんですね…。グリムですよ。」

「あ!そうか、しまった…。こりゃ失態だ。」

「でもこの状況は、…最悪かもしれませんね。」

「ただの麻薬密売に留まらねぇ、ってことになっちまうな。」

「私は水野紗織とも会ったことがありますけど、本当に可愛らしい一見普通の女の子ですよ。あれでそんな組織の一員と言われてしまったら、ある意味誰も信じられない。」

「やー、世知辛いっつーかコワイ時代だなホント。水野紗織と姫川悠季がそんなとこに所属することになった経緯は調べてるが、まだまったくわからん。若者には健全に生きて欲しいもんだぜ。」

「嫌味ですか?それ。」

「ただの本音だよ。」