Grim Saga Project

幸福キャンパス 048

 
 
 
僕の行動原理というか、判断指針のような考え方・価値観がある。

例えば解くのに5時間掛かった数学の問題があるとしよう。
次に同じ問題に取り組む時、解答に辿り着くまでの時間は極小になる。
類似の問題でもある程度の効果が期待できる。
これが勉強であり、学ぶことだと思う。

しかし実は数学以外の、もっと言えば国語とか理科とかの別の教科だけではなく、人間関係然り今目の前にあるような問題然り、それらにも同じことが言える。
解法、つまりなんでも解き方がわかっていれば解ける。

目の前に立ちはだかる泉田刑事。
その奥にぐったりしたマリオ。
そのマリオの首筋にナイフを押し当てたユキ。
僕の後ろにはリン、ミア。
あとからソウやユウカたちも来る。
背景まで見ればそもそものHCLについてだって、ここまでに色々な情報を得て、経由してここに行き着いた。

この状況で自分がどのように立ち回るのが最適解か。
このあとどうなるか。
なぜこんな状況なのか。
ユキになにが起きているのか。
カズマは誰に、そしてどうして殺されたのか。
クスリの入手者は誰なのか。
そういった様々な情報がわかれば、きっと最適解が求められる。

数学の問題とは異なり、当然今この瞬間にここで起きている状況とまったく同じ問題に再び遭遇することはない。
未来予知ができるわけもない。
ソウの能力の話をしているわけではないので、一旦それは棚上げ。
であれば、最適解に最も近づくことができるアプローチは、問題を解いたあとの自分の理解に可能な限り近づくことなのだ。

噛み砕くと、こういったイレギュラーな状況でこそ、落ち着いて情報を整理して、今わかる範囲、五感すべてのインプットから状況理解をすることこそがその方法である。
そういう意味では透視能力は、その補助的に機能すれば良い。
だからこそ落ち着け。
考えろ。