幸福キャンパス 047
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突然苦しくなった。
息ができない。
そして身体が動かない。
ほかにもとにかく不自由だと感じる。
今までにない感覚。
キツイけれど研ぎ澄まさねばと無意識に脳裏をよぎった。
切り替わっている。
何人ものツラさが。
最悪の結末に近づいている、と感じながら今度は痛みに耐える。
このままではみんな危ない。
痛い、苦しい、ツライ。
三人、いや四人、…?
まだこんなにたくさんの人が死に瀕するというのか。
なぜだ。
なぜこんな目に遭わなければいけない。
あまりにもツラすぎて今の自分がツラいことを嘆く意識に持っていかれそうになる。
そうではない。
まだ救える危機のはずだ。
…っ、はあ、はあ…。
大丈夫?また?という声がごく近い隣でささやくように聞こえて救われた。
夕華。
そうか、タクシーの車内だ。
瞬先輩や、凛、美愛の居る場所に向かっている。
そこで起きる惨劇を、私は止めなければ。
どうあってもこの友人たちを再び危機に晒すわけにはいかない。
「夕華、着いたら、ううん、なんでもない。私は大丈夫。」
「…?」
言われたのは多分この辺だけど、という声が聞こえてドアが開く。
七海、園葉、ごめんお会計お願い、とだけ呟いて外へ飛び出す。
周囲を見渡し、すぐに目の前のアパートの一室の扉が開いているのを見つけ、全速力で駆け出した。
開いた扉から女性の後ろ姿が見えた。
あれはおそらく美愛だ。
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