Grim Saga Project

幸福キャンパス 042

 
 
 
そもそもケンイチとカズマの件に繋がりがあるかどうかの確証はない。
同じ大学、同じサークルで同級の二人がこの世を去ったというだけで、警察の特殊な事件を担当する刑事が動くというのはあまりピンと来なかった。
マシロの発言力がそれほど大きい可能性もあるけれど、刑事たちと彼女の話しっぷりを聞くにどうもそうではない気がする。

しかもケンイチは自殺だ。
事件性がないと判断されているわけではないのだろうか。
または、そうなるに至った背景を何か掴んでいるのか。
しかし今の僕の思考力はポンコツ。
どうしても一部では器のことを考えている気がする。

別の切り口を考えよう。
どうしたって仮説は含まれるから、まずそれを許容しよう。
その考えの中から有力ないくつかを持って、頭のキレそうな戌亥と会話したい。

おそらく、マシロはソウの予言を信じた。
または、確証を得る何らかの情報を得た。
ユウキに関することかもしれない。
そしてさらなる危機が迫っていることを受けて、自分たちだけでその危機を回避できない可能性を考えたからこそ、二人の刑事を連れてきたのだ。
ここまではいいと思う。

そこから先がポイントだと思うが、やはりそこから先を考えようとすると思考が止まる。
単に今自分の思考能力が低下している可能性ももちろんあるけれど、もしかするとそんなポイントは今僕らには知りようがないのかもしれない。
二つ思い付いた。
一つは素直に何か裏を掴んでいるんですね?と尋ねる方法だが、戌亥と泉田にそれを聞いて打開できる気がしない。

どちらにせよ、絶対に回避しなければいけない危機も近く、時間がないはずの状況なのだ。
賭けに出ようと決めた。



「クスリ、ですね?」