幸福キャンパス 040
「戌亥だ。まあ、そこのお嬢ちゃんたちには世話になってる。本来なら一般市民と警察が仲良しこよしで情報交換してる、なんてのはめちゃくちゃマズイんだがこれは例外だ。この前の自殺とも繋がってると聞いちまったら仕方がねえ。つーわけで、緑川だったか。よろしく頼む。」
「泉田です。そんなわけなんで、僕と先輩は君たちとの情報交換に応じるよ。ただしなんでもかんでも喋れるわけじゃないから、そこんところは踏まえておいて。」
「戌亥さん、泉田さんはマシロさんと関係しているということはもしかして器のこともご存知なんですか?」
「あ、うん。つまりこのお二方は、警察組織の中でも一般常識で計れない類の事件に回される特殊な課の刑事さんなの。だから、非常識な要素が出て来てもある程度は理解があるわ。」
「なるほど。それじゃあ僕たちがそういった特殊な能力を使って今回の犯行を行った可能性については?」
「はっは。お前さん、よくわかってんな。つまり、この事件が他殺だとすると、君たちはまだ容疑者から外れてないってこった。」
「そう。だから、もちろん元々機密情報は流せないけれど、それ以外にも容疑者かもしれない人間には出せない情報ってのもある。それはマシロちゃんも同じ。」
「おい、泉田…。」
「あ。失礼しました。えーっと、じゃなくて、橋本さんも同じ、…ね。」
「ふふ。私は犯人じゃないけれど。でも疑っていてくださいね、戌亥さん、泉田さん。」
「なんかマシロさん、お姉さんに似てきてません…?」
「あら、そうかしら。自覚はないなあ。お姉ちゃんはもっと思わせぶりでしょう?」
「いやあ、コワイなあ…。」
「お嬢ちゃん、ところでこの子らの能力についてはどこまで俺たちが把握していいもんなんだ?」
「それは彼ら次第ね。どうする?シュン、リン、ミア。」
「そうですね。僕は問題ないですよ。もちろん誰彼構わず知られるべきことではないけれどマシロさんの信頼している警察の方なのであれば。リン、ミアは?」
「私も大丈夫。」
「うん、ウチも。」
「なるほど。それじゃあ、えーっと緑川くん、赤石さん、光井さんのことは聞いてもいいかな。僕らとしても個人の特性は把握しておきたいし、できれば早く容疑者から外れて純粋な協力者として見ていきたい。」