Grim Saga Project

幸福キャンパス 034

 
 
 
つまり、この場に集まった僕、リン、ミア、マシロ、ユウキ、ソウ、ユウカ、ナナミ、ソノハの9人は器について知識があり、サオリだけが何も知らない。
サオリの言葉を信じるのであればそういうことになる。



「でも、みなさん、私は構いません。器のことを知ってる前提で話を進めてください。一刻を争うんでしょう?ユキにも危機が及ぶかもしれないのに、悠長に説明していただかなくても、私にできることがあれば言ってください。」

「サオリさん、わかった。じゃあ、とりあえずユウキくん、マシロさん、今日二人が会ったのはどういう理由だったんですか?」

「それは簡単。相変わらず器を探していた私がキャッチした情報を辿ってきたら彼に繋がったから、会いに来たの。」

「そうですね。突然来られました、マシロさん。で、器について尋ねて来られて、話の途中でここに合流しています。一刻を争うとはいえ、情報を共有しないと先に進めないのであれば、僕は僕の持つ情報を今ここでお伝えすることはできますよ。私事だし、今回の事件や危機に直結しているとはあまり思えないけど。ご判断はお任せします。」

「うーん、わかった。それじゃあそれはこの後聞かせてもらうつもりにしておくよ。もし危機回避に繋がるかもしれない情報を持っている人がいるならそれを優先したい。誰かいますか?」

「でもさあ、シュン。何が危機回避に繋がる情報かわからんよね?私たち、えっとつまり、サオリちゃんとユウキくん、マシロさん以外は元々情報交換してたのね。で、サオリちゃんは何もわからないなら、ユウキくんの話聞いちゃった方が良くない?」

「それも一理あるね。マシロさん、補足ありますか?」

「ううん。ないわ。それこそ私が彼に辿り着いたルートの話なんて、よっぽど関係ないもの。」

「たしかに。それじゃあユウキくん。お願いしてもいいかな。」

「わかりました。僕の知っていることを話しますね。せっかくなので、サオリさんにもわかるように器の話も混ぜます。焦ってもしょうがないんでしょうから。」

「ありがとう。私もユキが危ないなら助けたい。気づいたことがあったら伝えます。」