幸福キャンパス 029
「それじゃあ仮に、だ。新たな危機は今まさに起きている、もしくは今日中には起きるとしよう。そしてこの危機もHCLに関して起きているものだとした時に、まずはここにいる僕とリン、ソウさんは今は大丈夫。早めにミアとユウカさんたちも集めた方が安全なのかな。」
ということで、ミア、ユウカ、ナナミ、ソノハに連絡して、1時間もしないうちに僕らは7人パーティになった。
最悪の事態、器のチームの誰かが今何らかの事件に巻き込まれてしまっている、というようなことはなく、少しホッとした。
手短に状況・情報を共有する。
え、てことはさ、もうあとマリオ先輩、カズマ先輩、ユキちゃん、サオリちゃん、ユウキのうちの誰かが危ないってことじゃん、というユウカの言う通り。
そして先輩二人とは連絡がつかない以上、残り三人の安否確認と無事なら安全確保を最優先すべき、ということで見解は一致。
しかし残る三人とも連絡はつかなかった。
そんなにスマホを頻繁に確認していないだけかもしれないし、手遅れの事態が起きているのかもしれない。
「でも…、ここまでの情報をすべて信じるのなら、何人かと連絡つかないのは当然なのかもしれない。だって加害者も被害者もサークルメンバーの可能性、高いよね。」
「え、ナナミちゃん…、でも、だってぇ、そんなの信じられないよ。ついこの前みんなで仲良く飲み会してたのに。」
「いや、ナナミさんの言う通りだよ。ここにいないメンバーの誰かが、僕らの知らない秘密を持っていた、または知っていたと考えるのが、残念ながら最有力候補のはず。その他の可能性も捨てきれないけど、あとはここにいる誰かを疑うことになるよね。」
「そんな…。」
「残る三人と連絡が取れない中で何ができるか。私も、シュンもミアも、現状脱却できるような力は持っていないし。」
その時、サオリがやってきた。
「サオリさん、良かった。ユキさんは?」
「ユウカさんからのメッセージを見て急いで来たんだけど、何かあったんですか?ケンイチ先輩のこと…?あ、ユキは今日は一緒じゃないんです。」
「ユキさん、何か危ないことに首を突っ込んでいない?」
「え?え?どういうことですか…?」
「詳しく話してる時間がないんだけど、ユキさんが何か危険なことに巻き込まれている可能性があるみたいなの。」
そこにまた新たな訪問者がやってきた。