Grim Saga Project

幸福キャンパス 024

 
 
 
すぐにできることが思い浮かばなかったので、まったく気は乗らなかったが、出席する予定だった講義には出ておくことにした。
が、予想通り内容はまったく頭に入って来ない。
あっさり諦めて、おっとりとした助教授の声以外には邪魔の入らない環境を利用して、この後のことを考えることにする。

今はまだ午前。
昼を挟んで数時間もすると、きっと器のチームの時間が取れるメンバーが集まってくるだろう。
リン、ミア、ソウ、ユウカ、ナナミ、ソノハ。
その他のメンバーは状況だけ聞いたはずだ。
どうするのだろう。
どう捉えてどう考えているだろう。
具体的には、ユキ、サオリ、ユウキのことだ。
三年生はそれぞれマリオとカズマが連絡の取れない状態、ケンイチは自ら命を絶った。
姉とその恋人はこちらから何らか依頼しない限り、そんなにすぐには動かないはずだ。

やはりまずは器の関係者と合流してどうするかを考えるべきか。
マリオはなんとなくケンイチの家族の元に行っている気がする。
もしくは、ケンイチの元に。
僕とカズマに、メンバーへの情報共有を依頼したのは身元確認や家族との話などがあるのではないか。
異常なほどの心配をしたマリオは、もしかするとこうなる可能性を知っていたのではないか。

カズマはどこまで知っているのだろう。
マリオ、ケンイチと一番近い彼も、ケンイチがどうしてこんなことになったか知っている可能性はあると思う。
少しもやもやしたが、それは頭の中に例の連続意識混濁事件がよぎったからだとすぐに気付いた。
無意識に今回の自死と関連付けている。
しかし、落ち着いて考えると、意識混濁の理由が何らかの薬物によるものだとしたら、三年生三人のいずれかが犯人である可能性は非常に高い。

安易なストーリーだとケンイチがクスリを他者に盛ってしまうのをマリオとカズマが抑止・監視していたが、それでも目を盗んで実行してしまうとかだろうか。
その罪悪感で死を選ぶ、というのはあり得るだろうか。